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Miho Uchida

音楽は僕たちの魂に栄養を与え、人と人とをむすびつけてくれる アンソニー・ロス・コスタンツォ(カウンターテナー)

Updated: Feb 4, 2021


アンソニー・ロス・コスタンツォ(カウンターテナー)©Matthew Placek

METで大成功を収めたフィリップ・グラス作『アクナーテン』を観た人なら彼が稀なる才能に恵まれた人物であることを疑う者はないだろう。二〇一八年には、歌舞伎座の『源氏物語』で市川海老蔵と共演したカウンターテナー歌手だ。最近ではMET主催の『アット・ホーム・ガラ』で彼が歌ったへンデルの「ぺーナ・ティランナ(暴虐なほどの心痛」」に心を揺さぶられた人も多いはずだ。そんな彼が本拠地ニューヨークから今後の予定について語ってくれた。


「来年の三月にはMETに戻って『ジュリアス・シーザー』のトロメオ役を演じるよ。デイヴィッド・マクヴィカー演出の素晴らしい作品なので楽しみだ。そして、二〇二一年の夏にはサンタフェ・オペラで『ロード・オブ・クライズ』の世界初上演に主演する予定だ。映画『レッド・バイオリン』(一九九八)でアカデミー賞音楽賞を受賞したジョン・コリリアーノの二作目のオペラだ。ブラム・ストーカーが書いた「吸血鬼ドラキュラ」(一八九七)とギリシャ悲劇、エウリピデスの「バッコスの信女」(BC四〇七頃)を合併させた話で僕は二つの話の主人公、ドラキュラとディオニーソスを併せたキャラクターに扮するよ。心理的に複雑でやりがいのある役だ」


そして劇場が閉鎖され不安と寂しさの中にいる音楽愛好家へメッセージを送ってくれた。

「今ほど人々が音楽を必要としている時はないと思う。音楽は僕たちの魂に栄養を与え、想像力を掻き立てるだけでなく人と人とを結び付けてくれる。録音や画面上で音楽を聴くことはできるけれども、コンサートホールに集い同じ空間と空気を分かち合いながら一つの音楽を楽しむことの喜びを忘れないでほしい。コロナウィルスが収束して劇場に戻った時の感激はひとしおだと思うから」。どんな時でもポジティブな態度を崩さない彼の心意気が伝わってくる。今をときめくアンソニーの舞台を早くまた観たい。

Metropolitan Opera 2020-2021 Season 3月上演予定『ジュリアス・シーザー』出演


 

2020年7月25日発行のACT4、97号「PEOPLE」欄にて掲載

www.impresario.co.jp


 

#アンソニー・ロス・コスタンツォ、#メトロポリタンオペラ #ジュリアス・シーザー

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